生命保険と遺言書 ~遺言による保険金受取人の変更~
生命保険契約は、契約をした人が保険契約者と被保険者の地位を兼ね、保険会社が保険者となって保険事故がおきた場合に保険契約者の指定する保険金受取人へ生命保険金を支払うという内容になっています。
保険事故とは、保険者の保険金支払い義務が具体化する事故、つまり生命保険では被保険者の死亡のことを指します。
保険事故が発生すると、保険金の受取人に保険会社への保険金支払請求権が発生します。
この請求権は受取人の固有財産となり、被保険者兼保険契約者の遺産より離脱します。つまり、生命保険の加入者が死亡しても、その相続人は生命保険金の受取人に指定されていなければ、保険金の支払いを請求したり保険金を受け取る権利は一切ありません。
保険事故の発生以後は、保険金受取人の変更をすることはできませんが、保険事故の発生前であれば、遺言書により保険金受取人を変更することができます。
つまり、生命保険は、保険会社との「契約」でありながら、受取人変更の部分については、保険会社に予め手続を踏まなくても遺言書に書くことにより、一方的に変更することができるのです。
遺言書により保険金の受取人を変更する場合、明示的に、変更する生命保険契約を遺言書に記載しなければなりません。
具体的には、当該生命保険会社・証書番号・従前の保険金受取人等を記載します。単に、受取人として指定された相続人以外の第三者に保険金支払請求権を遺贈する旨の遺言をしても、それだけでは受取人の変更としての効力を生じませんので注意が必要です。
以上が法律的な解釈・取扱いになりますが、今日の実務においては、保険会社が親族以外の第三者からの保険金請求に応じることは難しいようです。
したがって、遺言書による受取人の変更が実際に行われた場合には、訴訟手続きにより解決を図るなどかなりの手間がかかる可能性がありますので、現実的には、お勧めできないことになります。
スムーズな保険金支払いを実現するためには、事前に保険会社の担当者にご相談いただくことをお勧めいたします。
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